1元素記号「Si」とは何か? — 周期表のどこにあるの?
中学・高校の理科の授業で「周期表」を習ったのを覚えていますか? 周期表とは、地球上に存在するすべての「元素(物質の基本単位)」を番号順に並べた一覧表のこと。その中にケイ素(Silicon)という元素があり、元素記号は「Si」と表記されます。
元素名:ケイ素(珪素とも書く)
英語名:Silicon(シリコン)
元素記号:Si
原子番号:14
語源:ラテン語の「silex(シレックス)=火打ち石・硬い石」
発見:1823年、スウェーデンの化学者ベルセリウスが単離(単独の元素として取り出すこと)
「Si」という記号はSiliconの最初の2文字からとられています(炭素がC、酸素がOであるように、元素記号はたいていラテン語か英語名の先頭文字を使います)。
ケイ素は地球の地殻(地面の表面部分)に含まれる元素の中で、酸素に次いで2番目に多い元素です。砂浜の砂、岩石、土の成分のほとんどがケイ素を含む物質でできており、地球の表面はケイ素でできていると言っても過言ではありません。
ケイ素(Si)は自然界に単体で存在することはありません。必ず酸素など他の元素とくっついた「化合物」の形で存在しています。この「ケイ素が酸素とくっついた化合物」こそがシリカ(SiO₂)です。
2「ケイ素(Si)」と「シリカ(SiO₂)」の違い — 決定的な3つのポイント
ここが本記事のいちばんの核心です。「シリカ」を正しく理解するには、「ケイ素(元素)」と「シリカ(化合物)」の違いを知ることが欠かせません。
原子番号14
Silica
ポイント① 「元素」と「化合物」という根本的な違い
少し化学の話をします。物質には大きく分けて「元素(1種類の原子だけでできているもの)」と「化合物(2種類以上の原子が結びついたもの)」があります。
「水(H₂O)」は水素(H)と酸素(O)が結びついた化合物ですね。水素と酸素はそれぞれ別々の元素ですが、結びつくことで「水」という全く異なる性質のものになります。
同じように、ケイ素(Si)と酸素(O)が結びついて「二酸化ケイ素=シリカ(SiO₂)」になります。ケイ素単体とシリカは、水素と水くらい違う別物なのです。
ポイント② 化学式(元素記号の組み合わせ)が違う
元素・単体
- 原子1個だけで表せる
- 化学式:Si
- 銀灰色の固体(単体の場合)
- 半金属・半導体の性質を持つ
- 自然界では単体で存在しない
- IC(集積回路)や太陽電池に使用
化合物
- ケイ素+酸素が結合したもの
- 化学式:SiO₂
- 白〜透明の固体・粉末
- 電気を通さない(絶縁体)
- 自然界に豊富に存在(石英など)
- ガラス・シリカゲル・化粧品に使用
ポイント③ 性質・体への吸収がまったく異なる
| 比較項目 | ケイ素(Si) | シリカ(SiO₂) |
|---|---|---|
| 正式名称 | ケイ素・シリコン | 二酸化ケイ素・シリカ |
| 化学式 | Si | SiO₂ |
| 種類 | 元素(単体) | 化合物 |
| 自然界での状態 | 単体では存在しない(常に化合物として) | 石英・水晶・砂として存在 |
| 水への溶けやすさ | 水溶性のものも多い | 結晶性は溶けにくい/非晶質は溶けやすいものもある |
| 体への吸収 | 食物から摂取できる(水溶性ケイ素として腸で吸収) | そのままでは吸収されにくい。水に溶けた状態で初めて吸収される |
| 身近な例 | 半導体チップ・太陽電池 | 石英・水晶・シリカゲル(乾燥剤)・ガラス |
「シリカ水」に含まれているのは、水(H₂O)に溶け込んだ状態のシリカ(SiO₂)です。水に溶けることで体内で吸収しやすいケイ素(Si)として働きます。つまり「シリカを摂る=水に溶けた状態のケイ素を摂る」ということです。
3「シリコン」「シリコーン」とはどう違う? — 似た言葉の整理
「シリカ」「シリコン」「シリコーン」、これらはとても紛らわしい言葉です。しかし実は化学的にまったく違うものを指しています。
シリカ(Silica):二酸化ケイ素(SiO₂)のこと。砂・石英・水晶・シリカゲルなど。
シリコン(Silicon):ケイ素(元素記号 Si)のこと。つまりシリカの元になる元素。半導体・太陽電池に使われる「シリコンウェハー」のシリコンはこれ。
シリコーン(Silicone):ケイ素(Si)と酸素(O)に加えて、炭素(C)も含む人工の高分子化合物。おかずカップ・乳首・医療用チューブ・コーキング剤など。よく「シリコン」と呼ばれますが、正確には「シリコーン」です。
整理すると、シリコン(元素)→シリカ(酸素と結合)→シリコーン(酸素+炭素も結合)という関係です。シリカとシリコーンは全く別物ですので、混同しないようにしましょう。
4自然界のシリカ — 砂・水晶・珪藻土はすべてSiO₂
自然界にはシリカ(SiO₂)がさまざまな形で存在しています。身近なものばかりですが、すべて同じ化学式(SiO₂)でできているとは驚きですね。
このように、シリカ(SiO₂)は私たちの生活のあちこちに存在します。地球の地殻の実に10%以上を石英(SiO₂)が占めるという報告もあるほどで、地球上で最も豊富な鉱物のひとつです。
シリカには大きく分けて2種類あります。
結晶性シリカ:原子が規則正しく並んでいる。石英・水晶など。
非晶質(アモルファス)シリカ:原子の配列が不規則。シリカゲル・シリカ水などに含まれるシリカ。
健康・美容目的で摂取するシリカ水やサプリに含まれるのは非晶質シリカ(水溶性シリカ)です。結晶性シリカの粉末を長期間吸い込み続けると肺への悪影響がある場合がありますが、飲料や食品中のシリカとは全く別の話です。
5人体とシリカ — 美肌・骨・髪を支えるミネラル
「シリカが美容にいい」という話を聞いたことがある方も多いでしょう。実際、シリカ(ケイ素)は人体にどのように関わっているのでしょうか。
成人の体内には約18gのケイ素(シリカ)が含まれており、骨・関節・血管・皮膚・髪・爪・細胞膜など全身の臓器・組織に分布しています。体の「つなぎ」役として、さまざまな場所で働くミネラルです。
① 美肌とシリカ — コラーゲン・エラスチン・ヒアルロン酸の「接着剤」
肌の「ハリ」「弾力」「うるおい」を支えているのはコラーゲン・エラスチン・ヒアルロン酸の三役ですが、シリカ(ケイ素)はこれらを結びつける「接着剤」のような役割を果たしています。
コラーゲン・エラスチン・ヒアルロン酸がいくら豊富でも、それらをつなぎとめるシリカが不足すると、肌の構造が弱くなり、たるみ・シワ・乾燥につながります。シリカが「美のミネラル」「ビューティー・ミネラル」と呼ばれるのはこのためです。
② 骨とシリカ — カルシウムを骨に定着させる働き
骨を丈夫にするにはカルシウムが必要、というのはよく知られていますね。しかし、カルシウムを骨まで運んで定着させるためにはシリカが欠かせません。シリカはカルシウムとコラーゲンをつなぐ「のり(糊)」のような役割を持っており、シリカが不足するとカルシウムが骨に定着しにくくなると考えられています。
アメリカのフラミンガム研究(世界的に信頼性の高い長期疫学研究)では、食事からのシリカ摂取量が多いほど骨密度が高いという相関が報告されており、特に閉経前の女性において顕著であることが示されています。
③ 髪・爪とシリカ
髪の主成分はケラチンというタンパク質ですが、シリカ(ケイ素)はこのケラチンの生成をサポートする働きがあると考えられています。シリカが不足すると髪のコシ・ツヤが失われたり、爪が割れやすくなったりします。
④ 血管とシリカ
血管の弾力を保つうえでも、シリカは重要な役割を果たします。動脈のシリカ濃度は年齢とともに低下することが知られており、血管の老化(動脈硬化)との関連を指摘する研究もあります。
6年齢とともにシリカは減る — 50〜60代女性が注目すべき理由
シリカは体内で自分でつくることができません。食事などを通じて外から取り込み、体内で消費するという循環を繰り返しています。しかし問題は、年齢を重ねるとシリカを取り込む力が弱くなることです。
▼ 年代別・体内シリカ保有量の変化(概念イメージ)
生まれたときのシリカ量を100とすると、40代ですでに約半分以下に低下し、その後も徐々に減少していくといわれています。
50〜60代女性にとって特に気になるのが、閉経後の変化です。女性ホルモン(エストロゲン)の低下とともに骨密度が急激に下がりやすくなりますが、この時期にシリカも同時に不足している可能性があります。シリカが骨密度にカルシウム以上の影響を与えるという研究もあることから、この世代の女性にとってシリカへの関心は特に重要といえます。
・肌のハリが失われた、シワ・たるみが気になる
・髪にコシやツヤがなくなった、抜け毛が増えた
・爪が割れやすくなった
・骨密度が低下してきたと言われた
・血管が硬くなりやすくなった(動脈硬化傾向)
※これらは加齢による変化とも重なるため、シリカ不足だけが原因とは限りません。気になる症状は医療機関に相談しましょう。
7シリカの上手な摂り方 — 食品・シリカ水・サプリ
シリカは食事やシリカ水などから摂取できます。日本では食事摂取基準にシリカの推奨量は定められていませんが、成人では1日あたり10〜40mgが消費されていると言われており、同程度の摂取を心がけると良いとされています。
① シリカを含む食品
シリカを多く含む食品をご紹介します。特別なものではなく、日常の食卓にある食材ばかりです。
🌿 青のり(海藻類)
🌾 オート麦・玄米・雑穀(穀物類)
🥔 じゃがいも・とうもろこし(根菜・野菜類)
🦐 サクラエビ・アサリ(魚介類)
🌊 ひじき・わかめ(海藻類)
ただし、食品からのシリカ吸収率は低いため、現代の食生活では不足しがちです。
② シリカ水
水に溶け込んだシリカ(水溶性シリカ)は体内に吸収されやすい形をしています。国内外のミネラルウォーターの中には、シリカを多く含む天然水があり「シリカ水」として販売されています。日常的に飲む水をシリカ水に変えるだけで、手軽に継続して摂取できます。
シリカ水を選ぶ際は、シリカ(SiO₂)含有量を確認しましょう。一般的には1Lあたり30mg以上含むものが「シリカ水」として扱われることが多いです。
③ シリカサプリ・濃縮液
水溶性ケイ素の濃縮液やカプセルタイプのサプリメントも市販されています。無味無臭のものが多く、飲み物に混ぜるだけで使えます。食事からの摂取で不足を感じる方や、より効率よく補いたい方に向いています。
シリカ(二酸化ケイ素)は厚生労働省の食品衛生法において「人の健康を損なうおそれのない物質」に分類されており、食品添加物としての使用基準(食品の2%以下)も定められています。通常の食事やシリカ水での摂取であれば過剰摂取の心配はほとんどありません。ただし、サプリメントの長期・大量摂取は腎結石のリスクが指摘されている場合もあるため、製品の使用量を守ることが大切です。
8まとめ
- シリカの元素記号は「Si」。これはケイ素(Silicon)の元素記号で、原子番号14。
- ケイ素(Si)は「元素」、シリカ(SiO₂)は「化合物」。ケイ素1個に酸素2個が結びついたものがシリカ(二酸化ケイ素)。
- ケイ素は自然界では単体で存在せず、常にシリカ(SiO₂)などの化合物として存在している。
- 身近なシリカの例:砂・水晶・石英・シリカゲル(乾燥剤)・ガラス・珪藻土。
- シリカ・シリコン・シリコーンはすべて別物。シリコーンは炭素も含む有機化合物。
- 体内のシリカ(ケイ素)は肌・骨・髪・血管を支える重要なミネラル。コラーゲン・エラスチン・ヒアルロン酸の「接着剤」として働く。
- 体内のシリカ量は20代をピークに加齢とともに減少。特に50〜60代女性は意識的な補給が大切。
- 摂取方法はシリカを含む食品・シリカ水・サプリメントなど。水溶性シリカとして摂取するのが吸収効率◎。
「シリカ=元素記号Si」という情報を調べていた方も、ここまで読めばシリカとケイ素の違い、そして美容・健康への関わりまで、しっかり理解いただけたと思います。
シリカは特別な成分ではなく、地球上で最も身近な物質のひとつ。日常の食事や水を少し意識するだけで、効率よく補うことができます。ぜひ今日から、シリカとのつき合い方を見直してみてください。
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